空を見上げたら気球がいた
2023年2月の初め、アメリカのモンタナ州で「空に白い丸いものが浮いている」という写真が出回りました。バスを3台つないだほどの大きさの気球。政府は「中国の偵察気球」と発表し、中国は「気象観測用が流された」と説明しました。
2023年2月1日、モンタナ州ビリングス上空に現れた気球。Wikimedia Commons / Chase Doak / CC BY-SA 4.0
気球は数日かけてアメリカ本土を横断し、2月4日、大西洋上で戦闘機のミサイルで撃墜されました。ここまでは、大国同士の緊張のニュースです。
問題はそのあとの1週間でした。
立て続けに落とされた「物体」

- 2月4日:サウスカロライナ沖で中国の偵察気球を撃墜
- 2月10日:アラスカ上空で「物体」を撃墜。「小型車くらいの大きさ」以外はほぼ説明なし
- 2月11日:カナダ・ユーコン準州の上空で「円筒形の物体」を撃墜(米加共同)
- 2月12日:ミシガン州のヒューロン湖上空で「八角形の物体」を撃墜
最初の気球は写真も映像も大量にありましたが、2〜4つ目は軍の発表以外の情報がほとんどなく、形も持ち主も「不明」のまま。「気球」ではなく「物体(object)」という言葉が使われたことで、ネットは一気にざわつきました。
「宇宙人ではありません」
そして2月13日、ホワイトハウスの報道官が記者会見でこう言いました。
「宇宙人や地球外の活動を示すものはありません」
政府が記者会見で宇宙人を否定する。それ自体がニュースになりました。否定するということは、聞かれるほど話題になっていたということです。空軍の司令官も直前の会見で「宇宙人の可能性を排除しない」と口を滑らせていて、そこから訂正するまでの数日が、UFO 界隈にとっては祭りでした。
落ち着いて考える
その後の説明を並べると、だいたい次のような線に落ち着きます。
- 中国の気球を撃墜したあと、レーダーの設定を「小さくゆっくり動くもの」も拾うように変えた
- そのため、これまで見逃していた研究用・趣味用の気球が急に見えるようになった
- 実際、アメリカの愛好家団体が「うちの気球がアラスカ方面で行方不明になった」と発表した
- 撃墜した物体の回収は、氷や湖の状況で難航し、正体の確認は後回しになった
つまり「急に UFO が増えた」のではなく、**「急に見えるようになった」**が正解に近いようです。
それでも残るもの
ただ、都市伝説的にはこれで終わりません。
- 3つの物体の写真や残骸は、今のところ公開されていない
- 「気球の騒ぎを大きくして、本命を隠した」という定番の説
- アメリカ政府は2021年から UFO(正確には UAP=未確認空中現象)の報告書を公式に出していて、「説明できない事例」が残っていることを認めている
「政府が公式に UFO を調べている」時代に「正体不明の物体を撃墜した」と言われれば、想像が膨らむのは当然です。政府が正体を明かさない限り、この3つの物体は都市伝説として残るでしょう。
おわりに
たった1週間で、「中国の気球」は「空にはずっと何か浮いていた」という話に変わりました。増えたのは物体ではなく、見ようとする目の方です。
このブログとしては、アメリカ政府の UAP 報告がこの後どう続くかを追いかけたいところです。宇宙人が出てくるかどうかはともかく、「政府が真面目に調べる」というだけで、話は十分に面白くなっています。








