財布の中の見慣れない500円玉
2021年11月1日、新しい500円硬貨の流通が始まりました。前回の変更は2000年。21年ぶりの新顔です。
2021年に発行された新しい500円硬貨。縁が2色に分かれ、中心は3層構造。Wikimedia Commons / Syced / CC0
手に取った人の第一声はだいたい同じで、「なんか縁が金色」。真ん中が銀色、周りが金色の2色構造になっています。このブログは紙幣の都市伝説を何本も書いてきたので、硬貨も避けて通れません。まずは中身から。
新500円硬貨の仕掛け
造幣局が公開している偽造防止技術を、見た目で分かる順に並べます。

- バイカラー・クラッド:ニッケル黄銅のリングに、白銅と銅を挟んだ3層の芯をはめ込む構造。2色に見えるのはこのため
- 異形斜めギザ:縁のギザギザの一部だけ形が違う。大量生産の硬貨で世界初とされる
- 縁の微細文字:縁に「JAPAN」「500YEN」が刻まれている。ルーペで見えるレベル
- 潜像:表の「500」の中に角度で見える「500」と「JAPAN」
つまり、旧500円が海外の硬貨(韓国の500ウォン)で偽造されやすかった反省から、2000年の変更でも足りなかった部分をさらに固めたのが今回です。
早くも出回った噂
「自販機で使えないのは意図的」
これは噂というより事実の半分です。新硬貨は磁気の特性が旧硬貨と違うため、対応していない自販機や券売機では受け付けません。発行直後は使えない機械の方が多く、「新しい硬貨を作ったのに使えないのはおかしい」「キャッシュレスに誘導するためだ」という声が出ました。
実際は機械側の更新に時間がかかっているだけで、2000年の変更のときも同じことが起きています。ただ「現金を不便にして電子マネーに寄せている」という見方は、この後のマイナンバーやデジタル通貨の話でも必ず出てくるので、覚えておいて損はありません。
「500 は悪魔の数字の変形」
このブログの読者ならお察しの通り、数字ネタです。5+0+0=5、硬貨の直径 26.5mm、重さ 7.1g……と数字を並べて何かに結びつける投稿がいくつかありました。13 や 666 の記事で書いた通り、数字は足せば何にでもなります。
「裏面の桐は皇室、竹と橘は……」
500円玉の裏面には桐、側面のデザインには竹と橘が使われています。桐は皇室ゆかりの紋であり政府の紋章でもあるので、「日本の硬貨は皇室と政府の支配の象徴」という定番の読み解きが今回も出ました。これは新硬貨で変わった部分ではなく、旧硬貨からの引き継ぎです。
新500円硬貨の裏面。桐、竹、橘の意匠は旧500円硬貨から引き継いだもの。Wikimedia Commons / Heavy Frisker / CC BY-SA 4.0
ついでに:次は紙幣
硬貨の次は紙幣で、2024年度には1万円札が渋沢栄一、5千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎に変わる予定になっています。紙幣の顔が変わるとき、このブログ的にはやることが決まっています。透かし、ホログラム、肖像の向き、数字の並び。新しい紙幣が出たら、また同じ目で見ることになるでしょう。
おわりに
新500円玉は「偽造対策の塊」で、都市伝説の材料としてはやや弱めです。それでも発行から数日で「使えない」「数字」「皇室」の3本が揃うあたり、硬貨は硬貨で人気があるのだなと思いました。財布に入ってきたら、縁のギザを一度見てみてください。一部だけ形が違うのが、肉眼でもわかります。









