静まり返った国立競技場
2021年7月23日、1年遅れの東京オリンピック開会式が無観客で行われました。歓声のない競技場、途中で入れ替わった演出陣、直前まで続いた騒動。テレビの前で「本当にやるんだ」と思った人も多かったはずです。
2021年7月23日、東京2020オリンピック開会式の花火。Wikimedia Commons / Rodolfo Vilela / CC BY 3.0 BR
そして式が終わった直後から、SNS にはいつもの言葉が並びました。「あれは何かの儀式だ」。
今回は、開会式のどこが「シンボル」と読まれたのかを、噂と実際の説明を分けて整理してみます。
1,824機のドローンが作った地球
式の中盤、競技場の上空にドローンが浮かび上がり、大会エンブレムの市松模様から回転する地球へと形を変えました。使われたドローンは 1,824 機。インテルの「Shooting Star」というシステムで、平昌五輪の開会式でも使われたものです。
噂になったのはここからです。
- 上空の地球は角度によっては一つの目のように見える(=プロビデンスの目だ)
- 1,824 という数字を足すと 15、1+5 で 6。6 が三つで 666 だ
- 地球の前に出たエンブレムの市松模様は、フリーメイソンのロッジの床(白黒の市松)と同じだ
数字を足していけば何にでもたどり着けるのは、このブログで何度も書いてきた通りです。市松模様については、大会エンブレムの「組市松紋」は江戸時代の柄で、公式にもそう説明されています。ただ、メイソンのロッジの床が市松であるのも事実なので、この手の噂が出るのは避けられなかったのでしょう。
ピクトグラムを人間がやる
もう一つ話題をさらったのが、青と白の衣装の3人組が50種類のピクトグラムを次々に人力で再現したパフォーマンスです。海外でも「今大会で一番良かった」と評判になった一方で、こんな見方も出ました。
東京2020の公式グッズになったスポーツピクトグラム。開会式で人力で再現されたのはこの50種類。Wikimedia Commons / Syced / CC0
- 顔を隠した人間が黙々と型をなぞるのは「個を消す儀式」だ
- 青い衣装は特定の秘密結社の色だ
これはさすがに無理筋で、演じていたのはパントマイムのガブリーズとが〜まるちょばの面々。ピクトグラム自体は 1964 年の東京大会で日本が世界に広めたもので、「言葉が通じなくても分かる記号」という日本の五輪の遺産を見せるのが演出の意図でした。
「儀式」に見えてしまう理由
冷静に見れば、開会式は「言葉がなくても伝わる記号」と「テクノロジー」をテーマにした演出でした。それがなぜ儀式に見えたのか。
- 無観客で歓声がなく、映像だけが淡々と流れた
- 演出のトップが直前に交代し、「本来の演出は別にあった」という空白が生まれた
- 世界中が同じ映像を同じ時間に見た(これ自体がこの手の噂の燃料になります)
「大勢が同時に同じ図像を見る」瞬間は、いつの時代も都市伝説の温床です。過去のオリンピック開会式の噂を並べると、ロンドン 2012 の「病院のベッドと巨大な赤ん坊」、リオ 2016 の「壊れる地球」など、毎回何かしら言われています。東京もその列に加わった、というのが正直なところでしょう。
イルミナティカードとの関係
このブログでおなじみのイルミナティカードには「Combined Disasters」というカードがあります。時計塔が崩れる前で人々が逃げる絵で、五色の服の人が描かれていることから「東京五輪の中止を予言している」と言われていたカードです。
イルミナティカード「Combined Disasters」。崩れる時計塔と、五色の服の人々。【イルミナティカード】Combined Disastersの詳細と都市伝説まとめ
結果として大会は「中止」ではなく「1年延期して無観客で開催」でした。当たったとも外れたとも言える、都市伝説らしい着地です。
おわりに
開会式の演出そのものより、「無観客の静けさ」が噂を増幅したのだと思います。象徴を探す人にとって、説明のない映像ほどおいしいものはありません。次はパラリンピックの開会式が 8 月 24 日。同じ目で見る人がまた現れるのでしょう。











