田舎町の「アメリカ版ストーンヘンジ」
アメリカ南部、ジョージア州エルバート郡。人口2万人ほどの町の外れに、高さ6メートルの花崗岩の板が6枚、放射状に立っていました。ジョージア・ガイドストーンです。
爆破される前のジョージア・ガイドストーン(2014年撮影)。Wikimedia Commons / Dina Eric / CC BY-SA 2.0
1980年に建てられて以来、「アメリカのストーンヘンジ」と呼ばれる観光地であると同時に、陰謀論者にとっての聖地でもありました。理由は、石に刻まれた文章にあります。
刻まれていた「10の指針」
石碑には英語、スペイン語、スワヒリ語、ヒンディー語、ヘブライ語、アラビア語、中国語、ロシア語の8か国語で、同じ10項目が刻まれていました。

問題になるのはやはり1番目です。「人類を5億人以下に保ち、自然と永遠の均衡を保て」。当時の世界人口は45億人。単純に読めば「9割減らせ」になります。2番目の「生殖を賢く導け」と合わせて、「人口削減計画の宣言だ」と読まれてきました。
このブログでもおなじみ、イルミナティカードには「Population Reduction」というカードがあります。ガイドストーンはその実物版として、ずっと引き合いに出されてきました。
建てたのは誰か
ここが最大の謎です。1979年、「R.C.クリスチャン」と名乗る男が地元の花崗岩会社を訪れ、「ある団体を代表して」石碑の建立を依頼しました。本名も団体名も明かさず、資金は現金で支払われ、設計図だけを残して去ったとされています。
- 「R.C.クリスチャン」は薔薇十字団(Rosicrucian)を連想させる偽名
- 石碑の向きは天文学的に計算されていて、北極星や夏至・冬至の太陽に合わせた穴が開いていた
- 石碑の脇には「タイムカプセルが埋められている」と刻んだ石板があるが、日付は空欄のまま
依頼を受けた花崗岩会社の社長は、後年「本名は聞いたが、墓まで持っていく」と語っています。フリーメイソン、薔薇十字団、テッド・ターナー(地元の富豪)、はては「未来から来た人物」まで、40年間ずっと犯人探しが続いてきました。
2022年7月6日、爆破
7月6日の午前4時ごろ、石碑の1枚が爆発で崩れました。監視カメラには、車で乗り付けて何かを置き、走り去る人影が映っていたと当局は発表しています。
残った石板も倒壊の危険があるとして、その日の夕方には重機で全部撤去されました。40年立っていたものが、一日で更地になったわけです。
犯人は今のところ分かっていません。ただ、この石碑は近年、政治的な話題の中で「悪魔的なもの」として名指しされることが増えていました。今年の州知事選の候補者が「ガイドストーンを破壊する」と公約に掲げていたのも事実です。
撤去の速さがまた噂を呼ぶ
ここからが都市伝説の本番です。爆破よりも「その日のうちに全部撤去された」ことに、多くの人が引っかかりました。
- 証拠隠滅だ。残った石板に何かが書かれていた、あるいは地下に何かがあった
- 「石碑の役目は終わった」と判断した側が、自分たちで片付けた
- 逆に、爆破そのものが自作自演で、石碑を「殉教者」にしたかった
現実的には、6メートルの花崗岩がひび割れて立っている状態は危険で、行政が即日撤去するのは普通の判断です。ただ、40年間「誰が建てたか分からない」ものが、「誰が壊したか分からない」まま消えたのは、話として出来すぎています。
おわりに
ジョージア・ガイドストーンは、「実際に存在した陰謀論」という意味で特別な場所でした。誰かが確かにお金を出し、確かに「5億人」と彫らせ、確かに黙って去った。作り話ではなく、石として立っていたのです。
それが無くなった今、噂だけが残りました。都市伝説にとっては、たぶんこれが一番強い形です。









