何も起きなかった土曜日
2025年7月5日は土曜日でした。朝、SNS では「今日が当日」という投稿が並び、夜には「何も起きなかった」という投稿に変わりました。
トカラ列島の悪石島。6月下旬から群発地震が続いている。Wikimedia Commons / 名古屋太郎 / CC BY-SA 3.0
予言が外れた日を記事にするのは、このブログの役目だと思っています。当たった予言より、外れた予言の方が、なぜ広まったかを考える材料として優れているからです。
予言の元ネタ
発端は、ある漫画家が自分の「予知夢」を描いた1999年の作品です。表紙に「大災害は2011年3月」と書かれていたことが、東日本大震災の後に「予言していた」と話題になりました。
2021年に出た「完全版」で、著者は新しい夢を追加しました。「本当の大災難は2025年7月に来る」。日本とフィリピンの間の海底が破裂し、東日本大震災の3倍の津波が来る、という内容です。日付については、著者が夢を見た日から「7月5日」と語られるようになりました。
著者自身は、その後「日付を断定したわけではない」「防災意識を高めるためのもの」と繰り返しています。
なぜ海外で広まったのか

面白いのは、この予言が日本より香港や台湾で大きく広まったことです。
- 2024年ごろから、香港の風水師や占い師が「日本には7月まで行くな」と動画で発信
- 中国語圏の SNS で「日本の漫画家が3.11を的中させた」という文脈で拡散
- 2025年春、香港の航空会社が「需要の減少」を理由に日本行きの便を減らすと発表
- 日本の観光地や自治体が「根拠のない話」と打ち消しに動く
- 気象庁が「日時と場所を特定した地震の予知は、現在の科学では不可能」と改めて説明
日本では「また出た」で済んだ話が、海外では「3.11を当てた予言者の次の予言」として、まったく別の重さで受け止められていました。
当日の周辺
7月5日そのものは平穏でしたが、その前後にいくつか「材料」はありました。鹿児島県のトカラ列島では6月下旬から群発地震が続き、震度6弱も観測されています。予言を信じる人にとっては「始まった」であり、信じない人にとっては「あの地域ではときどき起きること」でした。
大阪・関西万博の記事で「7月の予言との接続」と書きましたが、万博会場も何事もなく、7月は通常営業です。
外れた予言がたどる道
このブログで扱った予言の多くは、外れた後に3つの道のどれかをたどります。
- 日付がずれる。「7月5日ではなく7月中」「2025年ではなく夢を見た年から数えて」
- 解釈が変わる。「災難は地震ではなく別のものだった」
- 静かに忘れられる
今回は既に1と2が始まっています。「7月はまだ終わっていない」「災難とは観光客の減少のことだった」。3番目になるかどうかは、来年の今ごろに分かります。
予言の実害
今回の予言は、はっきりした実害を出しました。航空便の減便、観光地のキャンセル、そして東北の被災地から「震災を予言の材料にするな」という声。
「防災意識を高めるため」という著者の言葉は本心だと思いますが、日付が一人歩きした時点で、予言は防災ではなく風評になります。この記事も、予言を面白がっている側面はあります。ただ、外れた日を記録することは、次の「〇月〇日」が出てきたときの参考にはなるはずです。
おわりに
2025年7月5日は、何もなかった日として記録されました。次の日付は、もう誰かが用意しているでしょう。










