今年もまず答え合わせ
去年の「The World Ahead 2024」の表紙は、投票箱と砂時計、画面の中の目、月の満ち欠け、そして「?」で顔を隠した2つの人影でした。
- 投票箱:史上最多の選挙の年は事実になった。アメリカはトランプが返り咲き、イギリスは政権交代、インドは与党が議席を減らし、台湾は与党が続投
- 「?」の顔(右の男性):トランプでした。「戻ってくるかどうか」の「?」は、戻ってきた
- 「?」の顔(左の女性):7月にバイデンが撤退し、ハリスが候補になった。「まだ表に出ていない誰か」は当たりだったが、選挙には負けた
- 砂時計:バイデンの残り時間、と読んだ人の勝ち
- 月の満ち欠け:4月8日の皆既日食は予定通り起きた。終末は来なかった
- 下向きのグラフ:外れ。アメリカの株価は年間を通じて最高値を更新し続けた。8月に一度大きく下げた日はあった
- 画面の中の目(AI):AI は今年も主役だったが、「目」が何かを見ていたかは分からない
- 鳩と温度計:去年「地味な要素が主役になる」と書いたが、今年は当てはまらなかった
2025年版の表紙
「The World Ahead 2025」の表紙。白地に赤・黒・白の四角いイラストが円形に並ぶ。The Economist - The World Ahead

白地に、赤・黒・白の小さな四角いイラストが円形にぎっしり並んでいます。去年の線画の横顔から、写真の顔に戻りました。
人物
- トランプ(中央):11月5日の大統領選挙で当選。見出しも「トランプ復帰、世界への影響」
- 習近平(右上)、プーチン(右下)、ゼレンスキー(左下)
- フォンデアライエン(左、EU の委員長)
- ジェーン・オースティン(いちばん下):イギリスの小説家。2025年が生誕250年
目
- 放射能マークを瞳にした目(左)
- 網目模様の目(右)
時間と宇宙
- 砂時計(右)
- 土星(上)
- ロケット(中央下、トランプの真下)
- 原子の模型、地球が2つ
経済
- ドル記号が2か所、円(または元)の記号が3つ並ぶ
- 上向きの矢印と下向きの矢印、工場、電気自動車と電池、段ボール箱、レンガの壁
- 2進数の数字、回路基板のような模様
その他
- 握りこぶし(下)
- 注射器、試験管、DNA のような模様
- 燃える炎、放射状の模様
どう読まれているか
放射能マークの目
今年の主役はこれです。「万物を見通す目」の瞳に放射能マーク。プロビデンスの目と核を一枚に重ねた絵で、「核戦争を見ている」「核が使われる年」と読まれています。もう片方の「網目の目」は「監視社会」「AI に見られている」。
エコノミストの意図としては、「原子力の復活(AI のデータセンターの電力)」と「監視」でしょう。ただ、目玉に放射能マークを入れるというデザインを、このブログの読者に見せて何も言わせないのは無理です。
砂時計と土星
砂時計は「時間切れ」「終末までのカウントダウン」、土星は「サターン=悪魔崇拝の象徴」。土星は占星術や秘教の世界で「時間」「制限」「死」を司るとされ、砂時計とセットで「期限が迫っている」と読まれています。表紙の説明では、土星は2025年に予定されている探査機の話です。
トランプの真下のロケット
ロケットの先端がトランプの顎を指しています。「ミサイル」と読むか「宇宙開発」と読むか。トランプの周辺に宇宙開発の企業家がいることから、後者の方が自然ですが、「大統領とミサイル」の絵は前者に読まれます。
円の記号が3つ
「¥」が3つ並んでいる箇所があり、「日本に何かある」と日本のネットで話題になりました。¥ は人民元の記号でもあり、「中国の通貨」「通貨戦争」の意味と考える方が、見出しの「貿易戦争」に合っています。
ジェーン・オースティン
なぜ小説家が。生誕250年の記念というのが答えですが、「250」という数字は来年のアメリカ建国250年(2026年)にもつながるので、「アメリカの250年への予告」と読む人もいます。1年早い。
握りこぶし
「革命」「抵抗運動」「暴動の予告」。円のいちばん下、オースティンの隣にあります。
個人的な読み
今年の表紙は、要素が多すぎます。去年の「4つの要素」から一気に30以上。読み解く側としては、材料が多いほど「当たる」ものが増えるので、来年の答え合わせは「全部当たった」にも「全部外れた」にもできます。
エコノミストの表紙が「予言」として機能し続けるのは、この多さのおかげだと思います。
おわりに
放射能マークの目が、来年の今ごろ何を見ていたことになっているのか。2025年の答え合わせは、1年後に。









