20年ぶりの新しい顔
2024年7月3日、新しい日本銀行券の発行が始まりました。1万円札が福沢諭吉から渋沢栄一へ、5千円札が樋口一葉から津田梅子へ、千円札が野口英世から北里柴三郎へ。前回の変更は2004年なので、ちょうど20年ぶりです。
新しい1万円札の表面。肖像は渋沢栄一。Wikimedia Commons / Heavy Frisker / CC BY-SA 4.0
このブログでは、旧千円札や10円札に「隠された」とされる話を紙幣シリーズとして書いてきました。新札が出た以上、避けては通れません。
新札で変わったこと
まず事実から。国立印刷局が公表している主な変更点です。

- 3Dホログラム:肖像が立体的に見え、角度で顔の向きが変わる。紙幣への採用は世界初とされる
- 数字を大きく:額面の数字を漢数字より大きな算用数字にして、外国人や高齢者にも分かりやすく
- すき入れの高精細化:透かしの肖像の周りに細かい模様
- 触って分かる印:券種ごとに違う位置に、凹凸のある印
2021年の新500円硬貨のときと同じで、目的は偽造対策と使いやすさです。
早速言われていること
渋沢栄一とフリーメイソン
これは新札が発表された2019年から言われていた話です。渋沢栄一は1867年に幕府の使節団としてパリ万博に随行し、フランスで銀行や株式会社の仕組みを学んで帰国、日本の資本主義の土台を作った人物です。
「西洋の銀行制度を持ち帰った」「500以上の企業を作った」「関わった人脈にフリーメイソンがいた」。ここから「渋沢自身がメイソンだった」「1万円札の肖像にメイソンが選ばれたのは意図的だ」という説が組み立てられました。
渋沢がフリーメイソンだったという記録は、日本にも海外にもありません。ただ、彼が渡欧中に世話になった銀行家フリュリ・エラールはメイソンのロッジの会員だったとされ、「そこで思想に触れたはず」という形で話がつながれています。
ホログラムの向き
3Dホログラムの渋沢の顔は、傾けると左右を向きます。「顔が左を向くときと右を向くときで意味が違う」「片方の目だけが見える角度がある=プロビデンスの目」という投稿がありました。
これは、立体的に見えるホログラムの仕組みそのもので、どの角度からでも片目が隠れる瞬間はあります。旧札のときの「透かしを裏から見ると」の令和版、といったところです。
記番号の「AA」
新札の記番号(左上と右下の番号)は、アルファベットと数字の組み合わせです。発行初期の「AA」から始まる番号は記念に取っておく人が多く、「AA000001」は日銀と印刷局が保管しています。ここから「特定の番号の札は選ばれた人に渡される」「番号の合計が666になる札がある」という数字ネタが出ましたが、番号は単なる連番です。
「新札で旧札が使えなくなる」
これは噂というより詐欺の手口で、「旧札は期限があるので交換します」と持ちかけて紙幣を騙し取る事件が実際に起きています。旧札は今後もずっと使えます。このブログの読者は大丈夫だと思いますが、家族には伝えておいてください。
紙幣シリーズとして
日本の紙幣に「隠されたもの」を探す遊びは、このブログの定番です。旧千円札の「透かしの目」、10円札のマッカーサー、フィリピンの100ペソ札のメイソンシンボル。
新札は偽造対策の技術が上がったぶん、「見る角度で変わるもの」が増えました。見る角度で変わるものは、都市伝説にとって最高の素材です。しばらくは新しい「発見」が続くと思います。
おわりに
渋沢栄一は、「日本の資本主義の父」と「メイソン説」の両方を背負って財布に入ってきました。噂の方は根拠が薄いですが、「西洋から銀行を持ち帰った人」が紙幣の顔になる、という構図はよくできています。
新しい札を手にしたら、ホログラムを傾けて、渋沢の目がどこを見ているか確かめてみてください。










